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【コナン】異次元の狙撃手の赤井の「了解」は大きな「賭け」だった

劇場版名探偵コナン第18作「異次元の狙撃手」は原作・TVアニメとコナンを普段から楽しんでいる人に向けて作られた作品といっても過言ではありません。ラストシーンで放たれた沖矢昴の「了解」がすべてであり、それまでの1時間30分はあのセリフのためだけにあったと言ってもいいぐらいです。

この映画の制作は劇場版シリーズの製作スタッフにおいて大きな「賭け」だったといえるものだったと思います。
今回は制作の背景をご紹介します。

・当時、原作ではバーボン編が佳境に入っており多くの人が沖矢昴の正体に気づいていた
・前作「絶海の探偵」はライトファン向けに作られた結果、当時のシリーズ興行収入記録を達成していた
・本作の成功によりシリーズの作品の幅が大きく広がった
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当時の原作連載状況について

当時、原作・アニメで展開されていたストーリーはバーボン編です。バーボンの正体はもちろん、来葉峠で殺害された(ようにみえた)赤井秀一が生きているのか・死んでいるのかを含め、読者・視聴者の考察が佳境に入っていたまさにその時に公開されたのが「異次元の狙撃手」です。

公開前後、週刊少年サンデーでは84巻・85巻に掲載されている「緋色シリーズ」が連載中でしたが、本映画を劇場で観覧した方々はアニメや単行本派は原作での種明かしよりも先に、沖矢昴の正体を知ることになります。

結論だけいえば、これに勝る種明かしの仕方はないでしょう。

当時バーボンの正体が安室透であることは原作78巻「漆黒の列車」シリーズで明かされていました。また、沖矢昴がコナンサイドの人間として行動していることや、沖矢昴⇒キャスバルで赤井秀一(ガンダムのシャアの本名がキャスバルで、声優を務めた池田秀一さんが赤井の声優のため)であることに多くの方が気付いていました。

そのため、ほとんどの読者が「沖矢昴の正体は赤井秀一」だと予想していたハズです。

そんな中、原作でページをめくりながらの種明かしをしても「やっぱりそうだよね」としかならなかったでしょう。しかしアニメで、しかも変装を解くわけでもなく「声」によって沖矢昴の正体を明かすという手法を取ったことはファンの予想を大きく超えていました。

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「原作の謎は原作で明かす」が定跡であり伝統であった

当然、原作ファンは、「原作の謎は原作で解決される」、「劇場版シリーズは一種のパラレルワールド」という固定観念があり、映画での種明かしなど予想だにしていなかったはずです。これを裏切る「異次元の狙撃手」の手法は見事というほかなく、このセリフを聞くためだけに何度も劇場に通うファンが出たほどです。

本作はストーリー自体も面白いですし、アクションシーンとのバランスも素晴らしい良作だと思いますが、ほとんどの人は「了解」の一言で映画の内容が頭の中から吹き飛んだと思います。

この映画はコナン映画シリーズの一つの分岐点というべき作品です。従来の作品は原作・アニメを楽しんでいない方でも楽しめるようなストーリー設計がされており、だれが見ても楽しめることを重視して作成された作品がほとんどでした。

しかし本作のように、ここまで原作・TVアニメ読者へのサプライズを重視した演出はコナン史上初めてで、かつ今のところは唯一のパターンとなっています。これは原作者の青山剛昌先生からのサプライズであり、アニメ・映画スタッフからの挑戦状でもあるように感じました。

前作とはターゲット層を大きく変えた冒険作

おそらく劇場版シリーズだけを見ている方と普段からのコナンファンとの間には大きな評価の違いが表れていると思います。前作の「絶海の探偵」は当時のシリーズ興行収入記録を更新するヒット作でしたが、内容は原作・アニメを知らない人でも楽しめるようなストーリーで原作・アニメ本編との連動はほとんどなかったといえます。

そんな中、今作はFBIや赤井秀一・世良真純・沖矢昴など。いずれも設定が複雑なキャラクター達が登場します。明らかに前作とはターゲット層を変えてきているのです。

これでも前作の興行収入記録と戦えると判断した関係者には、原作・TVアニメファンの増加とコナン人気の沸騰に自信を持っていたと推察できます。この辺りのマーケティング戦略や思い切りの良さは称賛されるべきです。

事実、これ以降の映画シリーズは興行収入記録を毎年更新し、コナンも興行収入100億をうかがう怪物シリーズになりました。

この作品の成功は映画スタッフにとっては大きな自信になったことでしょう。事実、以降の作品の幅が大きく広がりました。これまでの劇場版作品はさまざまな人気キャラクターがフィーチャーされてきましたが、あくまで主役はコナンです。どんなに小五郎や服部、キッドが活躍しても最後はコナンがすべてを持って行く。それが本作で大きく覆りました。

これが後の「純黒の悪夢」の大ヒットや「ゼロの執行人」での「安室の女」を生み出す遠因となった作品だと思います。

まとめ

異次元の狙撃手のラストシーンは私自身、歴代シリーズで一番興奮したのを覚えています。1つセリフだけでここまでファンからの評価を集める映画も本当に珍しいですね。

あれ以上の鳥肌シーンが今後の映画でも生まれることを願っています。特に注目は本作以来、久しぶりに赤井秀一がフィーチャーされる2021年公開の「緋色の弾丸」ですね。

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